
Orbital Servicing Robots
軌道上サービスロボット
1957年の人類初の人工衛星打ち上げ以来、地球周回軌道上には使用済み衛星やロケットの 破片などの人工物、いわゆる「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」が増え続けています。これらは現役衛星や国際宇宙ステーションと衝突する危険性があり、大きな問題となっています。こうした課題に対し、故障衛星の修理・燃料補給・除去などを行う軌道上サービスが 注目されており、持続可能な宇宙利用に向けた鍵とされています。 東北大学吉田研究室では、1997年に打上げられた世界初のロボット実験衛星「技術試験衛 星VII型」(ETS-7)の軌道上実験に参加し、軌道上サービスロボットの最前線研究に取り組み続けています。桒原研究室では、自在に軌道間を移動する技術の開発を進めており、次世代宇宙インフラ構築に貢献しています。
Lunar/Planetary Exploration Robots
月惑星探査ロボット
月惑星探査ロボットは、月や火星などの天体表面を移動し、地形や土壌、環境データを収 集する役割を担います。極限環境でも自律的に走行・観測・分析することにより、将来の 有人探査や資源利用の基盤として重要な役割が期待されています。 2003年に打上げられ2010年に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトでも東北大 学は重要な役割を果たしました。小惑星イトカワでのサンプル採集技術の開発、そしてイトカワから持ち帰ったサンプルの分析にも大きな貢献を果たしています。 また、2011年~2018年には国際月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に参加し、世界 の強豪たちと技術の切磋琢磨を行ってきました。その活動成果は、月面着陸を目指すスタートアップ企業である株式会社ispaceに受け継がれています。


Robotics for Lunar Outpost Construction
月面拠点開発
近年、月の極域に水氷が存在する可能性が高まり、大きな注目を集めています。これらの水資源は、飲料水や酸素の生成に加え、ロケット推進剤の原料としても利用可能であり、 将来の持続的な月面活動の鍵を握る重要な要素です。現在、国際的な連携のもと、月面における水資源の探査および有人拠点の構築が検討されています。 東北大学吉田研究室では、内閣府ムーンショット型研究開発事業の一環として、月面探査および拠点構築に対応するモジュール型AIロボットシステムの研究開発を進めており、今後の月面活動に革新をもたらす技術として期待されています。また東北大学では、人類の宇宙環境における長期滞在を支える生命科学や、宇宙農業に関連する研究も活発に進められています。
Microsatellite Missions
超小型人工衛星開発
東北大学吉田・桒原研究室では、超小型人工衛星の先駆的開発を通じて、宇宙利用や宇宙探査の実証に取り組んできました。2009年に打ち上げられた「RISING」やその後継機 「RISING-2」では、高解像度の地球観測や多波長画像観測に成功し、超小型衛星による先進的ミッションの可能性を世界に示しました。 これらの開発は、設計・製造・試験・運用のすべてに学生が関わる実践型教育としても重要であり、総合的な宇宙技術力の育成に寄与しています。そしてこのような取り組みからは、宇宙分野における大学発スタートアップ「株式会社ElevationSpace」「シスルナテク ノロジース株式会社」が生まれており、研究成果の社会実装や新たな宇宙ビジネスの創出にも繋がっています。 東北大学は日本における超小型衛星開発と宇宙イノベーションの中核拠点として注目されています。


